4号特例の縮小
4号特例縮小も背景
4号特例の縮小の背景には主に2つの理由が考えられます。
1つは最近頻繁に起こる地震です。2024年の元日にはまだ記憶も新しい能登半島地震が起きました。
たくさんの住居が倒壊している姿はいまだに目に焼き付いています。本当にショッキングな映像でした。
4号特例の縮小により、住宅の建築において、断熱材の使用や設備の搭載による、住宅の重量増加に見合う強度が必要とされています。地震や台風などの自然災害で倒壊するリスクもあるため、適切な強度を持つ建築物の設計・施工が重要です。
もう一つは住宅の省エネ化を促進するために施行される予定です。2050年カーボンニュートラルの実現への取り組みに伴い、省エネ基準の適合が求められています。建築確認申請が免除された状態では、省エネ基準への適合をチェックできません。
では縮小によってどんなところが変更になるのでしょうか?
建築物の分類が変わる
4号特例の縮小により、建築物の分類が変わります。4号建築物が廃止され、新2号建築物、新3号建築物に変更される予定です。新2号建築物、新3号建築物の定義は、以下の通りです。
- 新2号建築物:「木造2階建て」または「木造平家建て」「延べ面積200平方メートルを超えるもの」
- 新3号建築物:「木造平家建て」かつ「述べ面積200平方メートル以下」
上記の建築物の場合、建築確認と検査が必須です。新2号建築物はすべての地域で必要で、新3号建築物は都市計画区域内の場合に必要となります。
対象となる審査項目が増える
4号特例の縮小により、対象となる審査項目が増えます。新2号建築物は、すべての審査項目において対象になります。また、4号特例では審査対象外であったものが、新2号建築物では対象となる項目もあります。対象項目の例は、以下の通りです。
- 屋根や外壁の防火性
- 居室の採光や換気
- 建築材料の品質 など
提出物の一部が変更になる
4号特例の縮小に伴い、一部提出図面が変更となります。新3号建築物は、現行の4号建築物と同様です。新2号建築物は、確認申請書・図面に加えて、構造関係規定等の図書と省エネ関連の図書が必要になります。確認図面の一覧は、以下の通りです。
- 仕様表(計画概要、付近見取図、内部/外部仕上表)
- 求積図、地盤算定表、配置図
- 平面図
- 立面図、断面図
- 構造詳細図
- 床面積、見付面積計算表
- 壁量判定 兼 耐力壁図
- 四分割法判定
- 柱頭柱脚金物算定(N値計算法)
- 給排水衛生・電気設備図
- 計算書(採光、換気、省エネ)
- 設計内容説明書(省エネ)
- 機器表(省エネ)
この特例の縮小により、様々な影響が考えられます。設計士の負担が大きくなり、作成時間も長くなります。申請期間も長くなり、結果工期が遅れることも予想されます。
お客様においては規定に合わせるために追加の工事や資材が必要になる可能性があったり、提出図書の作成や確認作業で、人件費などのコストが増えるといった住宅価格が高くなるというデメリットもあります。
4月から建築費が高くなるから今がチャンス!!などと言われることも多いと思います。
でも、構造や耐震性能の向上や安全性が高まることが期待できます。安心して住める家になるという点は、大きなメリットの1つといえるでしょう。
私は2025年4月以降、新しい法律になってから建築することの方がお客様にとってメリットが大きいと思っています。お金より命の安全の方がよっぽど価値があるものだと思います。
だから、ハイスタイルは駆け込み建築をお勧めしません。お客様一人一人が納得し、前に進んでいくことが一番です。確かにお金は大切ですが、この先何十年と安心して暮らしていける住まいを手に入れるということはお金以上の価値だと思います。
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